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ヘランブの二つの僧院に私の電灯が灯った日

-- バーチュアル財団ジャパンのプロジェクト --
ポストプロジェクト暫定報告

地域:ネパール王国ヘランブ地区
起案者:ロータスエナジー社(ネパール企業)
現地活動管理担当:ピーター・リグズ [ロックフェラー財団]
プロジェクトの現状:太陽発電による電化はすでに完了
日本側からの提供予算: $1496
資金提供者:田村南栄 (写真右)(拠出済み)

個人でもできるインターネット時代の国際協力: ODAのような過去の政府間援助は、結局はネパールような国では山奥の寒村にまでは達しません。慎ましい生活を送るヘランブ地区の村人達は、田村氏が支援したプロジェクトを実施するために現地に赴いた設置作業員に宿泊施設と食事を含む労力とサービスを提供して協力しました。
左の写真は、ヘランブ地区の僧院二ヶ所での太陽発電/蓄電装置と燈火システムの設置作業が7月末に完了し、僧院から伝統的な感謝のしるしのシルクスカーフが贈呈されたときの模様です。


プロジェクトの内容と僧院の立地条件

ネパールの首都カトマンズの北郊のヘランブ地区の山頂近くにはタシチョーリンとペマチョーリン(右の写真)の二僧院があり、長い間近隣7、8ヵ村の人々の信仰と社会生活の中心となってきましたが、ここでも電灯は皆無で、カトマンズから運び込まれる高価な白灯油の小さな灯が唯一の燈火でした。

消費物資の価格は、カトマンズからの輸送費を含む諸経費のため、たとえ僧院そのものの維持と運営の経費は、地元の村々が全額負担しているとしても、現金収入の少ない僧院にとっては大変な負担です。皆さんがネパールを訪問される場合でも、自動車を乗り捨ててからは、険しい山道を徒歩で何時間も登らねばなりません。

次の二枚の写真はペマ−チョーリン僧院の接写です。左はその建物全体、右はこの建物の屋上のパゴダで、向かって左側の屋根に太陽発電用のパネルが設置されているのが見えます。

無公害の太陽エネルギーを使った電力の用途

まず、それは二つの僧院に電灯システムを提供しますが、ここで注意すべきなのは、電気のない生活とは一体どんなものか我々日本人にはほとんど理解が不能だという事実でしょう。それは、単に電気、ガス、上下水道といったものが無いだけではなく、我々の日常生活の不可欠の部分となっている電話、ラジオ、テレビ、といったものもまったく利用できないというのが現状なのです。ですから、ネパールの山岳地帯の地域社会の生活の中では、僧院がコミュニティ・センターとして機能し、人々は四季を通じてそこで開催される多様な祭事、行事に集うだけではなく、成人や子供の教育機関として、ちょうど日本の寺子屋のような役割を果たしているのです。 このようなわけで、今回この地域の両寺院に明るい電灯による照明システムが導入されたことは、現地での地域社会の生活に大きなプラスの変化をもたらすものと期待されます。

僧院のどのような部分や部屋が明るくなったのか

ペマチョーリン寺院の場合

それでは、今回のささやかな電化プロジェクトで寺院のどのような部屋や施設が明るい夜の時間を持てることになったのかを最近の現地からの写真で見てみましょう。最初の二つの写真はペマチョーリン寺院の本堂で、すでに太陽発電による電力を使った照明器具が入っています。明るくなる以前の状態を示す写真も依頼したのですが、あまり暗くてネガ画像も十分に出なかった由で残念でした。

本プロジェクトの短期の目標は、僧院を明るくして、勉学、礼拝その他の宗教儀礼、地域社会活動など、夜間の生活内容をより豊かにすることです。以前にも申しましたように、太陽電力の使用は、密閉した室内での木片や灯油の使用が起こす人体への煙害を防止し、燈火用木片の採集に要する労力を節減、亜寒帯の樹木伐採による環境破壊の抑制にも貢献します。また、長期的な観点からは、本プロジェクトがネパールに止まらず、ブータン、インド、およびチベットに広がるヒマラヤ山岳地帯に散在する多数の僧院をも対象として将来にわたって計画の拡大が可能です。

これらの僧院は多くのヒマラヤの地域社会生活の中で中核的な位置をしめていますので、まずこれらの僧院で再生可能エネルギー技術の利用に成功すれば、当然の結果として将来はパワーアップによって僧院からのインターネットへの衛星中継による直接のアクセスが可能となるはずです。そしてそれが可能となる頃には、動画と音声のインターネット上での使用がかなりの程度まで可能となっているはずです。

このようなわけですから、ヒマラヤでの再生可能エネルギー技術の利用の促進は、単に健康な生活のための条件の改善を可能とし、ヒマラヤ地方の繊細な自然環境を破壊することなしに教育や社会福祉一般に貢献できることが期待されるのです。

タシチョーリン寺院の場合

左の写真は、タシチョーリン寺院の正面入口を照らす電灯が点灯された瞬間です。両寺院とも、設置作業はネパールの雨季に当たったので予定よりも時間を要しましたが、7月中には、設置後のシステムの作動状況のチェックを含む全作業日程が終了しました。

向かって右の写真は、タシチョーリン寺院で電化事業の完成を祝うラマ僧と、寺院、地域社会の関係者の方々です。ここでも、電化が今後の地域社会の生活の質的改善に大きな意味を持っていることが現地の人々によってよく認識されています。発電システムの設置に当たったロータスエナジー社の報告によれば、「この二つの寺院の僧侶達は、地域社会のための仏教行事を行うために大きな効果のあるこのような支援を頂いたことを深く感謝している。寺院側では、これによって夜の時間にも供養の行事が可能になるので、地域社会の信者にとっては大きな福音だという。更には、白灯油購入経費が不要となるので、人々のためになるサービスや、将来発電能力を大きくするための資金に充当するという。」


ロータスエナジー社現場チーム大活躍

1998年7月9日カトマンズを出発、メラムチパルバザールに向かった同社の設営チームは二班に別れてヘランブ地区のタシチョーリンとペマチョーリンに向かった。両寺院とも、足腰の馴れた現地の人達でさえ丸一日急な山道を徒歩でたどる以外に近づく方法はない。それに、カトマンズからメラムチパルバザールまでがすでに自動車で一日掛かりの旅なのだ。現地での設置作業は、往復の時間を入れると、タシチョーリンの場合は7日、ペマチョーリンは5日を要している。(写真はロータスエナジー社から提供されたものです−編集部)

「これらの寺院では煤煙による壁画の損傷が目立っていたが、この心配も無くなり、密閉した室内で灯油の燃える匂いや煤からも開放されることが喜ばれているという。ペマチョーリン寺院は、過去に一度石油発電機を購入した経験を持つが、故障が続出し、遂にその維持費が賄いきれずに発電機は放棄され、灯らぬ裸電灯がそのまま放置されていたという。この場合、石油は毎度カトマンズからポーターの背に背負われて搬入されるのでその経費だけでも大変だったのだ。」

最後の3枚の写真は、タシチョーリン寺院での電化完成を記念し感謝するために特別に催された盛大なお供養の様子です。左の写真は本堂中央の拝殿の仏像がまるで背光のように輝く太陽エネルギー電灯の下に映えて見えます。これまでは、ほとんど暗闇に近い本堂でほの暗い灯油の下で行われてきた法会ですが、これからは参加する人々の誰もが、読経するラマ僧の姿も、尊い本尊や周囲の諸仏も、そして黄金に輝く本堂の内装も、すべて明るい光の下で見ることができるのです。

このことはまたそのまま寺院での教育環境についても言えます。ヒマラヤの深い谷間で遊ぶ子供たちの視力をこんなに悪くしてきた原因の除去は、即教育効果の増進につながりましょう。そして子供たちは、始めて寺子屋で自由に読み書きを習うことのできる環境を持つこととなります。

右の写真は、祝賀のお供養の読経シーンです。中央にはラマ高僧が、そしてその左右には弟子のラマ僧達が居並び、本堂の反対の側には、読経に合わせてチョリンロンドンと呼ばれる大笛が奏でられています。

最後の写真はチョリンロンドン笛を奏でる僧侶達の列です。チベット仏教の寺院のこのような風景は、チベット本国から、ヒマラヤ山脈の山麓沿いに、ネパール、ブータン、インド山岳部を経由する広大な山岳地帯を南に伸びていて、近代の物質文明から隔絶した秘境を今に残しているのです。

バーチュアル財団のネパールプロジェクトに田村さんが個人として参加されることで、インターネット上での新しい市民レベルでの、お互いの顔の見える国際支援活動が始動しました。これを機会に、田村さんと、田村さんの友人の方々には、ぜひネパールの現地社会の方々と直接に本プログラムに併設されている国際友好フォラムを通じての交流を深めていって頂きたいものです。

この規模のプロジェクトは次の程度の予算で実行できます

必要経費 (NRs) 通貨換算 (USD) US$1 = NRs. 64
太陽発電システム二ヶ所 $1,064
カトマンズからの運送費(ポーター二名と要員と資材運搬のバス料金) $32
設置作業(技術要員2名で一ヶ所4日で完了) $152
設置後の確認作業とプロジェクト評価 $112
バーチュアル財団側一般管理費負担部分 (10%) $136
合計 $1,496


バーチュアル財団では田村さんのような支援者を求めております
本財団の提供する国際支援プロジェクトにご関心のおありの方は:

yokamoto@sbpark.comまで電子メールでご連絡頂くか、
電話:042-381-7688
ファックス:042-381-7692
までお申し出ください

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