すべてのアジア人にとってもっと普通で親しみやすい日本をみんなで作ろう

サマルガ河中央部の美しい谷間に抱かれているアグズ村は、持続可能な地元経済の発展を自主管理の下で実現させる大きな可能性を持つ

(1)極東ロシアの地域社会が自主発展のためにぜひ必要な条件とは何か

昨年度のエコツアーはいろいろなことを教えてくれました。第一にそれは、いかに現地の自然が美しく、キャンプに、そしてサマルガ河で釣れる巨大な野生岩魚のすばらしさなど、数知れないメリットがあるにもかかわらず、川下りに使用する舟の船外機が古くて故障したり、谷間の懐の川原に張ったテントから雨がもるとかといった、一つひとつは小さい問題でも、重なればツアー参加者にとって大きなプレッシャーとなりました。

ウデヘの猟師が使う川舟は細身で、早瀬を渡るために底の浅い造りになっていますが、船頭たちの腕前にはまったく感嘆せざるを得ませんでした。サマルガ河は中流までは比較的川幅も広く、なだらかな落差がつづきますが、それでも淵や早瀬の連続で水深を瞬時に見分けながらの操船技術は私たちには神業にも見えたものでした。昨年夏にはこのタイプの川舟を7隻の船団に仕立てての川下りでしたが、できるだけお互いが視野の中での行動範囲にとどまるようにしていましたが、一隻でも船外機が故障すれば忽ち全船団の行動に影響してしまいます。


このような小さな問題を解決する大きな前提条件となるのが相互の船の間での交信、さらに、船とアグズ村の基地との間の通信手段の有無なのです。これさへあれば、故障部品の注文といった必要事項の伝達で小さい問題への対応は可能です。悪天候で予定が狂った場合などがその典型的な例で、村と現場の間でまったく音信不通の状態が続けば、例え村とハバロフスクやウラジオ、そして日本との連絡がとれた場合余計に心配の種が増えます。昨年の試験ツアーでは、アグズ村と外界との連絡方法は勿論絶無であり、村と現場との間の交信手段も無かったのが事実で、バーチュアル・ファウンデーション・ジャパンが無償で提供した風力と太陽光を使ったハイブリッド発電機が村に設置されたのが、この問題解決へのせめてもの第一歩でした。

事実、昨年の夏は、全員がアグズ村に帰ってから問題が起こりました。ハバロフスクからわれわれを迎えに来るはずのヘリコプターが悪天候のために丸2日遅れたのでした。日本とハバロフスクは当然電話でつながりますから、帰国寸前の当時日本からの問い合わせがハバロフスクのホテルにきはじめていたのです。それでも「行方不明」という事態が日本でパニックを起こす寸前に北の空からヘリコプターが現れ、最悪の事態は回避されたというのが実情でした。昨年秋以来、この問題への抜本的解決が無ければ次年度につながるエコツアー事業の計画はきわめて困難であるとの一致した認識から、何とかして信頼度の高い通信システムを導入しようと真剣な検討が繰り返されてきました。


(2)通信衛星を利用したユニークな交信手段の導入計画が進む

アグズ村に持ち込まれた上記のハイブリッド発電機は、米国イリジューム社の破産による衛星通信サービスの停止のため国際間のデジタル交信には利用できないままで2000年を終わりましたが、バーチュアル・ファウンデーション・ジャパンでは、これに代わる現存衛星通信手段のなかで利用可能なものを発見すべく調査を進めてきましたが、通信手段を含む近代的社会インフラがまったく無い僻地社会の住民と日本の大都会の消費者市民との間の直接交信を非常な低コストで可能にするシステムの開発に成功しました。そして、この第一弾は今春3月にはフィリピンのネグロス島の山間部の集落の住民と日本の消費者を結ぶプロジェクトとして発足し、夏には同じシステムがロシア沿海州の北部のサマルガ渓谷のアグズ村にも設置される運びとなりました。
これは、低高度軌道で地球を回る小型通信衛星を利用するために開発された地上ステーションのターミナルで、これを現地に設置すれば、世界のどことでも毎日数回から十数回の電子メール交信が可能となります。きわめて小型で操作が簡単な上に、ほとんど全天候に耐える性能をもっており、僻地での使用に最適です。バーチュアル・ファウンデーション・ジャパンでは、これに多言語処理を可能にする翻訳サービスを組み合わせるので、日本の消費者が日本語で発信した電子メールは現地に英語またはロシア語で配信され、逆に、現地からのメッセージは日本語に訳されて私たちに届くようになります。

このようなわけで、21世紀の最初の年のすがすがしい夏にサマルガ渓谷のエコツアーに参加される方々は、日本人であれ、アメリカ人であれ、アグズ村の宿舎や、川下りの野営地から、何時でも本国と連絡を取り合うことが可能となるはずです。左の野営キャンプ地で釣ったサクラますと巨大岩魚が串刺しで丸焼きにされている写真をご覧ください。これは、日本海に開いた河口から舟で約1時間、両岸に原始林が茂る川岸の砂場での夜の歓談のひと時ですが、ここからでも日本に電子メールが送れる可能性が確実なものとなるのはまさにIT革命時代にふさわしい快挙と言わざるをえませえん。
バーチュアル・ファウンデーション・ジャパンは、アグズ村の人たちと協力して、このゆたかな自然がはぐくむエコ食品、たとえば、現地で皆さんが自身が釣ったサクラますや巨大岩魚を立派な燻製にしてお土産に日本にもって帰ってもらえるような加工設備の導入を促進する計画も進めています。
2001年夏のエコツアーへの参加をご希望の方は事務局までご連絡ください
報告者: 岡本豊
January 19, 2001

ここに掲載された写真はすべて1999年9月にロシア沿海州アグズ村を訪問した日本のFS調査ミッションのメンバーによって撮影されたもので、写真と本文の許可の無い転載を禁じます

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